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この企業に聞く
環境(EMS): 愛知県春日井市役所・柏原保育園様

2006年04月01日

(敬称は2006年当時)

“紙・ゴミ・電気”に捉われず、環境マネジメントシステムをフル活用保育サービスの向上、危機管理レベルの向上を実現。愛知県春日井市役所・柏原保育園

春日井市役所 健康福祉部 部長 入谷 直賢 氏
柏原保育園 園長 伊藤 京子 氏
春日井市役所 環境部 環境政策課 副主幹 小林 健志 氏
 
 
 
 

地方自治体としていち早くISO14001の認証を取得した愛知県春日井市。市内の公立保育園では、“紙・ゴミ・電気”に捉われることなく、日常業務に無理なく自然に環境マネジメントシステムを取り入れながら、保育サービスの向上を実現しているという。

ISO14001 環境マネジメントシステム取得

市長の強いトップダウンによってISO14001の認証を取得。

中部圏の中核都市として、環境・福祉・文化そして安全を市政の柱に魅力あるまちづくりに取り組んでいる、愛知県春日井市。2000年2月、愛知県内の自治体では初となるISO14001の認証を取得したという。
どうしても環境マネジメントシステムというと、“紙・ゴミ・電気”の削減という部分に目を奪われがちの企業も多い。しかし、春日井市のマネジメントシステム取得のコンセプトは、もっと本質を捉えたもののようだ。
「認証を取得する前に、LRQAの審査員から、“環境マネジメントシステムを軸にして危機管理、コスト削減、職員の意識改革を行いましょう”という提言をもらったのです。この言葉には、鵜飼一郎市長をはじめみんなが感銘しましたね。例えば、市が管轄している浄化センターなどで、事故が起きたとします。そうすると、市民の生活に重大な環境負荷を与えることになりますから、危機管理には特に重点をおくようにしました。」
と春日井市役所環境部環境政策課副主幹の小林健志氏は語ってくれた。しかし、当時、自治体や施設の認証取得は前例があまりなく、手探り状態で認証取得が進められたようだ。そんな中で、鵜飼市長は、現場をたびたび訪問して、職員を激励したり改善すべき点を指摘するなど、自らが積極的に認証取得に動いていたという。こうした鵜飼市長の姿勢によって、職員の士気が高まり、協力的に認証取得への取り組みが行われていった。

環境マネジメントシステムを公立保育園へと展開。

こうして無事に認証取得を終えた春日井市では、2002年、認証適用範囲に市内28の公立保育園などを加えることになった。しかし、環境マネジメントシステムと保育園とは、イメージが結びつきづらい。28の保育園のひとつである柏原保育園 園長の伊藤京子氏はこう語ってくれた。
「私たちも、電気の節約やゴミの分別、紙のリサイクルは既に行っていましたから、書類作成などが大変になるのではないかと思いましたね。でも、環境政策課やLRQAの審査員から、“日常業務自体が環境側面であり、業務改善していくことが、回りまわって環境にもいい影響を与えられる”という説明を受け、教育を充実させることが環境貢献につながるのかな、と考えながら取り組みをスタートさせていきました。」
柏原保育園では年間指導計画として、“残食を減らしゴミを減量する”“ゴミの分別や減量を意識づけさせる”といった目標を立て、2ヶ月に1度、“環境の日”を設けて、環境教育を行っていくことになった。

保育サービスの質を向上させた“環境の日”。

環境の日では、保育士が持ち回りで担当を務め、教育プログラムの策定や教育ツールの準備を行っている。担当となるのは、年に一度のため、どの保育士も一生懸命にいろいろなアイディアを出してくるようだ。例えば、保育士がつくった「地球大好き!」という環境の歌は、子供たちみんなが喜んで歌っている。また、 “カッシー君”という古いボール・使い古した手袋・靴でできた環境キャラクターや環境かるた、環境パズルをつくったり、食物を育てる大切さや収穫の喜びを味わうために野菜づくりを行うなど、子供たちが楽しみながら環境意識を身に付けられるようにしているそうだ。
「認証取得以前から、環境教育は行っていました。しかし、これまでの指導を振り返ってみると、保育士から子供に対する一方向の働きかけが多かったことに、気づきました。そこで私たち自身が環境について勉強したり、働きかけの仕方を工夫する中で、子供たちにも様々な遊びや体験を通して環境を学んでもらうようにしました。私たち自身が変わることで、子供の環境意識を変えていくことができたんです。」
と保育士の鵜飼裕子氏は語ってくれた。こうした環境教育が功を奏し、自宅では子供たちが両親にゴミを分別していないことを注意するなど、家庭にまでその教育効果が波及。その指導方法は保護者からも高く評価されている。

充実した報告書の作成で継続的改善、ノウハウ共有を実現。

柏原保育園では、こうした環境の日の取り組みを常に写真入りの報告書でまとめているが、これが指導の質的向上に役立っているという。
「環境の日のプログラムを作るときには、前年度の報告書を見ながら話し合っています。そのため、前年度よりも少しでもいいアイディアを出そうと心掛けています。」
と保育士の澤向恵子氏が語るように、報告書によってPDCAサイクルがうまく機能して継続的改善につながっているのだ。さらに、主任保育士の安達章子氏はこう語る。
「私は、昨年から柏原保育園に異動して来たのですが、こうした報告書を見ただけで、どんなことが行われていたかが一目瞭然なんです。そのため、打ち合わせ前に一通り報告書を見ておけば、話し合いにもスムーズに参加することができます。」
保育士間でノウハウを共有できるようになったようだが、これは、一般企業に置き換えると、いわゆる2007年問題の解決にもつながるような仕組みである。
また、報告書自体も当初は、手書きで写真を貼り付けたものだったが、いつしか、パソコンで作成して、写真もデジカメとなり、報告書の質も年々高まり、さらに、その作成スピードもアップしているという。報告書作成が、保育士の事務スキルの向上にも役立っているのだ。

今後は市内の保育園で水平展開を行いたい。

こうした柏原保育園の環境マネジメントシステム導入の効果に、健康福祉部部長の入谷直賢氏も大きな手ごたえを感じているという。
「今では、“PDCAを回そう!”という言葉をかけるだけで、保育士さん達は何をしていけばよいかを理解して、すぐに動いてくれるんです。頼もしいですよね。また、市内28の保育園で独自の取り組みが行われていますが、それぞれの良い取り組みについて情報を共有しながら、水平展開を図っていきたいと考えています。」
“紙・ゴミ・電気”だけに捉われることなく、無理なく自然なカタチで日常業務に環境マネジメントシステムを取り込み、教育サービスの向上や職員スキルの向上に結び付けている柏原保育園には、一般企業でも学ぶべきことが多いようだ。

不審者対策も継続的に改善

昨今、不審者の問題が深刻なものとなっているが、柏原保育園では、危機管理の一環として、侵入者対策の継続的な改善を行い、保護者にも安心感を与えている。

改善STEP1 職員全員に防犯ブザーを配付した。改善STEP2 侵入者から防御するために、さすまたの導入を検討したが、実際に訓練をしてみると、女性では扱いにくく、危険なことが分かった。改善STEP3 不審者 に心理的な罪悪感を与えるために、子供の椅子の裏面にステンレスのミラーをつけた防護椅子を導入した。

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