LRQAのお客様の成功事例をご紹介します。
2007年10月01日
(敬称は2007年当時)
アイコクアルファ株式会社
AP事業部 チーフマネージャー 遠藤 進 氏
ISOT 技術職マネージャー 中村 逸夫 氏
AP事業部 AQCTシニアマネージャー 小鹿 明人 氏
AP事業部 AQCG技術職リーダー 三浦 守 氏
1995 年のISO9002認証取得を皮切りに、航空宇宙産業セクター規格JIS Q 9100、自動車産業セクター規格ISO/TS16949へと次々にステップアップしながら、世界市場への大きな飛躍を果たしてきた、アイコクアルファ株式会社AP事業部。業界へ特化したセクター規格へのステップアップを、品質、営業の両面での大きな成功に結びつけた同社の取り組みをレポートします。
1943 年の創業以来、卓越した技術力によって、自動車、航空機部品製造を中心に発展をつづけてきたアイコクアルファ株式会社。中でも、AP事業部では、業界でもいち早く5軸NC加工機械、3次元CADCAMシステムなどを導入。航空機機体部品、エンジン部品、自動車部品など、NC加工製品を数多く製造してきた。特に、自動車用インペラは、高品質、短納期生産が高く評価され、世界市場の中でも3本の指に入るといわれている。
「切削加工によるインペラを年間24万個ほど製造していますが、ゼロPPM、つまり不良品を一切出荷していません。これが当社の大きなセールスポイントとなっていますね。」
とAP事業部 チーフマネージャー 遠藤 進 氏は、同事業部の強みを分析する。
そんな同事業部の自動車用インペラが、本格的に海外へ進出したのは、1999年頃。そのきっかけとなったのが、1995年のISO9002導入のようだ。当時を振り返り、ISOT 技術職マネージャー 中村 逸夫 氏は、次のように語る。
「1990年代半ばというのは、AP事業部の業績が厳しかった時代。そこで、従業員が一丸となるための取り組みとして、将来の基盤づくりへ向けてISO9002の認証を取得することになったのです。」
1995 年当時は、機械業界でも、まだISOを取得している企業は少なかった時代。今ではいくらでも入手できるような参考資料も、ほとんどなかったそうだ。それでも、コンサルティングを入れることなく、事業部全員が参加したマニュアルづくりを行うことにこだわったと中村氏は語る。
「本来、品質保証活動というのは、品質管理部門だけで行うのではなく、生産技術、営業など、事業部全員の活動として行うべきものです。そのため、コンサルティングを入れることなく、事業部全員の参加でマニュアルづくりを進めることにしたのです。」
当時、同事業部の製造部門では、品質管理としては出荷前検査を行う程度。また、様々な技術ノウハウは、担当者がメモ書きで蓄積、属人的な管理に頼っていたそうだ。営業部門でも、受発注は口頭で行われるなど曖昧なカタチで進められていたという。こうした管理の仕組みがISO9002の導入で一変したと同事業部 AQCTシニアマネージャー 小鹿 明人 氏は語る。
「みんなでつくったマニュアルだから守っていこう、という意識を持ってくれたようです。マニュアル化することで、個人が持っていたノウハウを標準化でき、決められた手順も確実に守り、品質管理の仕組みも確立。不良件数も減っていきましたね。」
こうした取り組みによって、ゼロPPMという驚異的な品質管理能力が培われていったようだ。


さらに、ISO9002導入は品質だけではなく、営業的にも大きなメリットをもたらすことになる。
「認証取得後に、自動車用インペラの海外進出を目指して、様々な海外メーカーに売り込みをかけていきました。すると、ISOを取得していることで、スムーズに商談へと進んでいき、世界的な航空機プライムメーカーから受注することができたのです。登録証のLRQAというネームバリューも大きかったようですね。ある企業では、日本の審査登録機関が発行した登録証を海外メーカーで見せると、外資系審査登録機関での再取得を求められたという話も聞きましたからね。」
と海外営業を進めていた遠藤氏は語る。その後、この航空機プライムメーカーからの受注が引き金となり、海外の自動車メーカーを中心として続々と取引先を増やし、今では、自動車用インペラでは世界市場で3本の指に入るほどに成長を遂げた。ISOの導入を品質、営業ともに大きな成果へ結びつけることに見事に成功した。
そして同事業部では、2005年に、航空宇宙産業セクター規格JIS Q 9100の認証取得を果たした。JIS Q 9100は、航空宇宙向けの難易度が高い規格といわれるが、スムーズに認証を取得できたそうだ。
「ISO9001を導入していましたし、航空機製造を長年行ってきましたから、地盤はできていました。あとは、規格と業務を照らし合わせて、適合していること、不足していることを明確にして、不足部分を追加していったのです。」
と同事業部 AQCG技術職リーダー 三浦 守 氏は語る。さらに、マニュアル化のポイントについて小鹿氏は次のように付け加えた。
「現場の作業要領を考えず、格好がいいマニュアルをつくると、やらなければいやらなければいけないことが増えるだけです。自分たちがしていること、できることを文書化していけばよいのです。」
こうしたJIS Q 9100の認証取得によって品質管理をさらに強化するとともに、営業的にも大きなメリットがあったと、遠藤氏は語る。
「これまで第二者監査は各社年2~3回程度あり、夏から秋にかけてお客様が入れ替わり立ち替わり監査に来られていましたね。それが、いまでは、2~3年に1回に軽減されました。OASISに登録されたことで、海外からの引き合いも増えてきたと思います。」
同事業部では、自動車関連部品の売上げが約4割を占めているそうだが、2007年5月、自動車産業セクター規格ISO/TS16949の認証を新たに取得した。その理由を小鹿氏は次のように語る。
「取引のある海外の自動車メーカーから顧客満足度を採点された際に、ISO/TS16949を取得していないことが、点数を下げる要因となっていました。今後さらに海外展開を進めていくためにも、ISO/TS16949の導入に踏み切ったのです。」
しかし、これまで航空機製造をベースとした品質管理を行ってきたため、自動車産業特有の品質管理の仕組みづくりには、少し手間取ったと三浦氏は語る。
「自動車産業では航空機産業の品質管理とは別の緻密さがあります。それを理解して、マニュアル化していくのには、時間がかかりましたね。統計的管理などは航空機でも行っていますが、自動車ではより細かく規定されています。ISO/TS16949を導入したことで、こうした管理手法の理解が深まり、より有効な活用につなげることができると思います。」
さらに、小鹿氏は、両規格の運用方法について、次のように語る。
「現在は、ISO/TS16949とJIS Q 9100の両規格を満足させることがテーマ。しかし、今後は、より効率的に管理していくために、二つの規格の違いを照らし合わせて整理しながら、いいとこ取りできるような仕組みを構築していきたいですね。」
ISO9002の認証取得を起点として、航空機、自動車産業セクター規格へ次々とステップアップして、品質向上、世界進出という大きな成功に結びつけたアイコクアルファ。マネジメントシステムの有効な活用法として同事業部の取り組みには、多くのことを学ぶことができそうだ。
ISO認証取得企業の中には、内部監査のシステムを有効活用できていないという企業も多いようだが、同事業部では、内部監査を確実に業務改善につなげていると小鹿氏は語る。
「内部監査では、5つのチームを週1~2回ずつに分けて監査しています。他社では、30分程度で監査を終えるという話も聞きますが、当社では、監査に時間をかけていますね。元々、上下関係なく意見を言い合えるという風土がありますし、各チームから競い合うように様々な指摘事項が出てきます。毎回、5件、 10件は出てきますから、内部監査がシステムの改善につながっていくという実感がありますね。」
同社の経営思想は、素晴らしい業績を上げることだけではなく、社員の自主的な活動を尊重して、人間的な喜びや生きがいを見出すこと。こうした経営思想から、命令をしない、意見を言い合うという、自主性の強い風土が生まれてきた。従業員が消極的になりがちなISO活動も、こうした風土によって積極的に取り組まれており、ISO導入の大きな成果に結びつけている。
同社の「こころの部屋」では、入口から出口までに、企業のあるべき姿を理解してもらうための設問と答えが用意されている。
同事業部が実施しているクオリティワールドレベル活動とは、全従業員を対象に不適合個数の減少や品質システムの維持を目指す取り組み。12ヶ月間の不適合個数を毎月評価して、従業員をゴールド、ブルー、イエロー、レッドにランク分けして、壁に張り出し品質向上へのモチベーションを高めている。5年前には10 名いたレッド者も徐々に減少し、現在はレッド者ゼロを達成している。しかし、まだ、不適合個数6個/3ヶ月の目標を達成できることは少ないため、この活動をさらに進化させ目標達成を目指している。
LRQA機関紙「Value Eyes」に掲載されている事例紹介記事です。