ケーススタディ

LRQAのお客様の成功事例をご紹介します。

この企業に聞く
品質(QMS)+環境(EMS): 株式会社大阪鉛錫精錬所様

2008年05月16日

(敬称は2008年当時)

株式会社大阪鉛錫精錬所 常務取締役 綿引 紘一 氏
ISO事務局担当マネージャー 米田 庸子 氏
株式会社大阪鉛錫精錬所(本社工場)
住所:〒555-0001 大阪府大阪市西淀川区佃5丁目6番地45号
電話:06-6472-0571 / FAX:06-6472-0570
URL:http://www.ons-rectec.co.jp/
 

ISO9001 品質マネジメントシステム・ISO14001 環境マネジメントシステム 取得

自動車の廃バッテリーなどを回収して、リサイクル鉛を精錬している、株式会社大阪鉛 錫精錬所。2001年に取得したISO14001を経営ツールとして徹底して活用すること で、社員たちのモチベーションが大きくアップ。“紙・ゴミ・電気”の削減のみならず、生産 性を向上させ、業績も大きく上向くなど、経営のスパイラルアップを実現している。

精錬業界の中でもいち早く ISO9001、ISO14001を取得

1919年(大正8年)に創業以来、大阪市で長きに亘りリサイクル鉛の精錬を行ってきた株式会社大阪鉛錫精錬所。また、1981年(昭和56年)から同社尼崎工場にて超硬工具のリサイクルを始めるなど、古くから、リサイクルという環境貢献の高い事業を展開してきた同社だが、精錬業者の中でも、いち早くISO9001、 ISO14001の認証を取得したという。
「元々、当社はベテラン社員が多く職人気質な社風でした。新人は先輩社員の背中を見て仕事を覚える、という状況だったのです。しかし、これでは、高い品質を維持することはできません。そこで、手順書をつくり業務を標準化するために、1997年にISO9001を取得したのです。」
と、綿引氏はISO9001認証取得の理由を語る。そして、苦労をしながらも手順書を完成させ、業務の標準化への土台ができあがったという。さらに、グリーン調達など環境への対応が迫られる中で、2001年にはISO14001を取得した。

徐々にISO14001の考え方が 社員たちに浸透

当初は、ISO14001に対する社員の関心が低く、まずは、幹部クラスの社員だけでPDCAサイクルを回すことになったそうだ。しかし、ISOをやらされているという意識を持つ社員が多かったという。そんな状況に変化が訪れたのが2004年のことだった。
「30代の社員に第一線管理職を任せることになったのです。まずは、PDCAサイクルの“P”計画を立てる、目標を設定することを重点的に教育しました。元々、当社の社員たちには、目標を持って働くという風土がなかったため、業務の中で個人目標を設定して、それに向かって業務を改善するという空気を植えつけたかったのです。これには、ISO14001は最適なものでした。」
と綿引氏は振り返る。また、社員たちにISO14001を受け入れてもらうのに、LRQAの審査が役立ったという。
「LRQAの審査員は、重箱の隅をつつくような審査はしませんでした。審査の際には、すべてをさらけ出して、非があったら直せばいいだけ、とも言ってもらえたのです。また、審査中に社員が自主的に集まり勉強会のようになるなどの場面も見られ、社員たちも審査に対して構えることなく素直に受け入れるようになっていきました。」
こうして徐々に社員たちの間には、ISO14001のPDCAサイクルという考え方が浸透しはじめたという。

生産性向上による環境負荷の低減を目指す

当時、同社で最大の環境リスクとなっていたのは、鉛粉砕時に発生して工場内に落ちていた粉塵だった。
「風の強い日には粉塵が飛散するほどでした。近隣に住宅が増えていましたので、大きなリスクとなっていました。しかし、LRQAの審査員からの指摘によって、3S活動を徹底。これによって、環境リスクを低減できるとともに、社員たちの意識も変わったようです。」同社では、“紙・ゴミ・電気”の削減、環境負荷の低減については、1年程度で目標を達成したようだが、環境マネジメントシステムは経営を活性化させることが、真の目的だと綿引氏は語る。
「当社では、歩留まり、生産性を上げることで、消費電力などの環境負荷を下げ、利益率を向上させることを目指していきました。ISO14001は利益に直結させることが大切なのです。」
生産性を高めるための施策として、ある社員から製造工程の中で還元剤となるコークスの材質を変えるという提案があったようだ。これが、年間何百トン単位の生産性向上に結びついたという。近隣住宅への配慮から、24時間稼動ができない同社にとって、この生産性向上はとても有意義なものであり、業績の大きな伸びにもつながったと綿引氏は語る。
「業績が上向きボーナスとして社員に還元すると、社員たちのモチベーションも目に見えて高まっていき、様々な提案が出てくるようになりました。」
さらに、粉塵をストックする倉庫も建築。環境リスクもより低減できたようだ。このように、同社では、ISO14001を活性化させることで、経営に好循環をもたらした。

喜んで内部監査を受ける社員たち

同社では内部監査も活発に行われている。当初は、内部監査には積極的ではなかったようだが、内部監査前に社長と打ち合わせしながら、課題、目的を明確にしていくと、内部監査員は社長の分身であるという意識が強まり、徹底した監査が行われるようになっていったという。
「他のラインの担当者に内部監査をしてもらうことで、自分たちのラインの新しい課題、改善のアイディアが発見できるようです。指摘事項が多いほど改善目標が増えるため、喜んで監査を受けています。」
と米田氏は、積極的に意見を出し合うようなオープンマインドな社風が醸成できたと語る。また、手順書も活発に活用されており、月に10項目の改定が行われているという。もちろん改定するだけではなく、担当者同士で読み合わせも確実に行い、自分たちのものにしている。最近では、文書だけではなく、メンテナンス手順を写真や動画で残すようになっており、改定がラクに行えるとともに、誰でも理解しやすくなっているようだ。

ISO14001への思い入れがあってこそ、大きな成果に結びつく

同社では、現在、環境側面のひとつとして労働安全衛生を取り入れるなど、ISO14001をさらに進化させて活用していると綿引氏は語る。「OHSAS18001のPDCAサイクルという基本的な考え方はISO14001と同じです。ですから、環境側面として、労働安全衛生を取り込んで、 PDCAサイクルを回していけば、おのずとOHSAS18001と同じことが行えるのです。」
さらに、米田氏は、今後の目標について次のように語ってくれた。
「当面は、ISO9001とISO14001のマニュアルの統合化が目標です。また、品質ロス、環境負荷の増減など、すべての業務をお金に換算していきたいと考えています。社員たちの利益に対する意識が高まっていきますからね。」このように、ISO14001を経営ツールとして徹底して活用することで、業績を大きく向上させてきた同社だが、綿引氏は、こうした成功の秘訣を教えてくれた。
「ISOというのはあくまでツールです。そこに経営者の思い入れが入っていなければ、形骸化してしまいます。しかし、思い入れを持ち、個々の目標を設定させ、業務を改善していこうという土壌をつくれば、人も育ち、会社への愛着心も生まれ、大きな成果に結びつくはずです。」
そう語る綿引氏の熱い眼差しからは、環境時代が本格化する今、リサイクル産業のひとつとして、同社がさらに大きく発展していくことを期待させてくれた。

環境側面の一環として、事業継続のも取り組む

昨今、事業継続計画が注目されているが、同社では、環境側面のひとつとして、事業継続計画に取り組み、ラインの長時間停止の対策なども行っているという。これまでは、機械に故障が生じた場合、メンテナンス業者を呼んでいたそうだが、予備部品数を増やし、自分たちでメンテナンスできる知識を身に付けることで、すぐに復旧できる体制が整備できたそうだ。

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