LRQAのお客様の成功事例をご紹介します。
2009年10月30日
バンドー化学株式会社
〒650-0047神戸市中央区港島南町4丁目6番6号
TEL:078-304-2923 FAX:078-304-2983
http://www.bando.co.jp/

自動車用の伝動ベルトなどで高いシェアを誇るバンドー化学株式会社では、お客様第一の経営方針により古くから苦情対応システムを構築してきた。そして、これを時代とともに進化させることで、品質管理システムの精度やお客様の満足度を向上。さらなるシェアアップにつなげている。
1906年の創業以来、100年以上の歴史を持ち、ゴム・プラスチック製品メーカーのパイオニアとして、自動車用の伝動ベルト、オートテンショナや、プリンタ・コピー機などのOA機器に使用される伝動ベルト、ブレードなどでトップクラスのシェアを有している、バンドー化学株式会社。新規事業にも積極的に取り組んでおり、精密研磨材、有機電子材料などのナノテクノロジーを活用した製品の開発にも着手している。
そんな同社では、お客様第一の経営方針により1970年代初頭には、いち早く苦情対応システムを構築していたそうだ。すでにその頃の苦情対応システムは、お客様の苦情の原因を調査してお客様に報告し暫定処置を行い、さらに、再発防止のために該当工程での恒久的な是正処置を行っていたという。これは、ISO9001の是正処置と同じ考え方といえる。取締役社長 谷 和義 氏は、当時を振り返り次のように語る。
「私が入社した1970年代は、当社の品質管理には“信頼による管理”という仕組みが導入されていました。これは自工程で良品を作り込んで不良品は絶対に次の工程には流さない仕組みで、今でいう“自工程完結”です。とはいえ、どうしても不良が流出し苦情は発生してしまいますから、“なぜ?なぜ?”分析を繰り返しながら本当の原因を突き止め、その工程上の不具合を解決し標準化するという改善の仕組みが根付いていました。」
同社では苦情への的確な対応をすることで、苦情をきっかけとして、お客様との深い信頼関係を築き上げることもあったそうだ。
そして、同社がISO9001の認証を取得したのは、1995年のこと。
「元々、自動車メーカー様との取引がありましたから、自動車部門ではレベルの高い品質管理システムとなっていましたが、ISO9001を導入することで、自動車部門の品質管理レベルを他部門にも展開して、統一管理できるようになりました。」
と、執行役員 品質保証部長兼BPS推進部長 北林雅之氏は語る。さらに、これを契機にISO9001と同社の苦情対応システムを融合して運用させるようになったそうだ。
「ISO9001の中には、是正処置(再発防止)という要求事項がありますから、当社の苦情対応規定を見直しながらISO9001の仕組みの中に入れて、PDCAサイクルを回していったのです。」
と、品質保証部 南海工場駐在 主事 長谷部 兼輝 氏は説明する。こうして同社では、苦情処理システムの仕組みを進化させてきたが、2005年頃から、潜在的な苦情が多いことが明らかになってきたという。
「当時は、お客様から苦情が来ると、まずは不良が当社の製品品質の問題か、お客様の製造上の問題かを調べ、当社側の責任であることが判明してから、はじめて苦情として取り扱い対応していました。そのため、お客様への対応が遅れがちとなり、それをお客様から指摘され、原因がハッキリしないクレームの件数が多いことが分かったのです。そこで、2006年にお客様への対応スピードを上げる苦情対応システムへと改革したのです。」
と、北林氏は語る。新しい苦情対応システムでは、お客様から苦情が来た時点ですべてを苦情として扱い、担当営業がその日のうちに、トップマネジメントと関係部署の2ラインへ第一報を報告。そして、すぐにその原因を調査して、お客様へ報告するとともに、社内にフィードバックして暫定的、恒久的な是正処置を行うようになっている。北林氏は、このシステムについて次のように語る。
「新しいシステムへと改革してからは、第一報が報告された後にいかにスピーディな対応をするかが勝負となり、苦情対応のスピードが上がり、お客様の満足度も向上したと思います。また、第一報を経営陣や部門長へ報告することで、苦情の原因がその工程内だけにあるのか、他の工程、部門も含めて問題があるのかを、広い視野で判断できるようになり、再発防止へ向けてさらに的確な是正処置が行えるようになりました。」
こうした新しい苦情処理システムへの改革は、強いトップダウンによって社員に浸透していったが、その理由について谷氏は次のように語る。
「苦情が発生してからの対応力は必要ではありますが、これからの時代は、苦情が出ないメーカーにならなければ生き残っていくことは難しい。しかし、お客様から苦情が出ない強い体質、工程にしていくために苦情、不良の是正を行おうとしても、どうしても製造現場は都合の悪いことを隠しがちです。そのため、“苦情、不良は恥ずかしいことではなく、お客様からの大切な意見である”という意識を社員たちに徹底させて、営業の第一報ですべての苦情、不良を明らかにして、その原因を突き止め、精度の高い工程を築き上げ苦情ゼロを目指したのです。苦情ゼロの達成は簡単ではありませんが、この改革によって当社に底力が付いてきたように感じています。」
原因がハッキリしないクレームも苦情として扱うことで、苦情件数自体は2006年に急増したそうだが、的確な是正処置によりわずか数年でその数が1/3程度にまで減少するとともに、品質コストも低減。さらに、苦情からお客様のニーズを汲み取り製品の改良開発へ結び付けたり、顧客企業との信頼も高まったりするなど、自動車業界でのさらなるシェアアップにもつながっていったそうだ。
同社では、今後、苦情処理システムをさらに高いレベルへと押し上げようとしていると、北林氏は語る。
「最終の目標はお客様苦情ゼロを達成することです。そのためには、2年前から取り組んでいる不良を“ゼロ”にする“ダントツラインづくり”活動を推進することと、人が万が一ミスをしても機械化・治具化により、次工程へ不良品を流さない仕組みを強化することが大切だと考えています。また、LRQAによる外部審査においても、お客様苦情ゼロの達成に向けてこれまで通りの鋭い指摘を期待しています。」
そして、谷氏は苦情処理システムの本質について次のように考えている。
「苦情処理への取り組みで何よりも大切なのは、システムではなく社員たちの心。しかし、そのモチベーションを維持、向上させていくためには、システムを活用していくことが必要なのです。」
谷氏の言葉からは、創業以来100年に渡る同社の品質追及への熱き想いと伝統、そして、さらに次の100年への持続的な発展を期待させてくれた。
LRQA機関紙「Value Eyes」に掲載されている事例紹介記事です。