トップ > ケーススタディ > LRQA Road to Success > 環境マネジメントシステム / 環境貢献と本業を一体化させた経営を推進。環境負荷とコストの削減を両立するプロジェクトが続々と生まれる。 味の素株式会社
LRQAのお客様の成功事例をご紹介します。
2011年11月11日

2009年に創業100周年を迎えた味の素株式会社。21世紀の人類が抱える3つの重要課題「地球持続性・食資源の確保・健康な生活」に事業を通じて挑戦していくことを、経営方針として掲げている。同社では、この方針にもとづき、本業と環境貢献を一体化させた事業展開を推し進めている。こうした中で、環境負荷低減とコスト削減につながるプロジェクトが次々と生まれてきた。
そのひとつが、物流部門、営業部門が一体となり、商品返品を約45%削減して、大幅な廃棄物・コストの削減を実現したプロジェクトだ。また、営業企画部のプロジェクトでは、販促物の倉庫在庫率を削減して、廃棄物・コストを削減するとともに、倉庫のさらなる有効活用につなげようとしている。こうした活動の原動力となっているのは、もちろんISO14001。今回は同社の環境活動・プロジェクトについてレポートする。
味の素株式会社
東京都中央区京橋1-15-1
Tel: 03-5250-8111
http://www.ajinomoto.co.jp
「うま味物質」の発見に端を発し、アミノ酸のさまざまな価値を探求し、今や最先端のアミノサイエンスで食と健康、そして医薬にも貢献できる世界に類のない企業グループに成長している。

食品製造という自然の恵みがあって成り立つ事業だからこそ、先進的な環境経営を推進してきたという味の素株式会社。創業100周年を迎えて、本業と環境貢献を一体化させるなどその経営をさらに進化させ、大きな成果を残している。
味の素株式会社のロングセラー商品「味の素」はサトウキビが原料となっているように、同社が商品を製造するうえで、地球上の各地域の豊富な自然の恵みが不可欠となっている。そのため、同社では豊かな自然を持続させるべく先進的に環境経営を推進してきた。
例えば、「味の素」の主成分であるアミノ酸はサトウキビの絞り汁を発酵させて作られるが、アミノ酸を取り出したあとの液体にもたっぷり栄養成分が残っているため、その副生液を有機質肥料として地元に還元して、無駄なく活用している。同社では、こうした循環型のビジネスをグローバルに展開している。
「当社は海外進出の歴史が長く、現地で製造して現地の消費者に販売するというビジネスモデルを続けていますから、現地の方々に認めてもらえる事業活動をしていかなければなりません。その一環として、世界22カ国で積極的に環境活動に取り組んでいます。国によって規制や文化、風土、地理的条件も違う中で、ISO14001を環境活動の共通の仕組みとして活用していますが、全拠点でISO14001という世界共通の言語で話ができるのは環境活動を進めていくうえで効率的です。」と環境・安全部長 石島 知恵子氏は語る。
さらに、同社では創業100周年を迎えた2009年に改めて「いのち」への認識を深めたグループ理念を定めた。
「"地球持続性・食資源の確保・健康な生活”という3つの重要課題に事業を通じて挑戦していくことを宣言し、グループの存在意義をかけて、このテーマに取り組んでいます。LRQA ジャパンにはビジネスパートナーという立場で、当社の環境方針と事業活動がどう結びついているかを的確に審査してもらっています。」
と石島氏は語るが、こうした取り組みは、まさに環境貢献と本業を一体化させたものであり、社員たちの環境に対する意識にも変化が訪れているという。
「これまでゼロエミッションやCO2削減などは、コストがかかる取り組みと考えられてきましたが、最近は環境にいいことは会社の成長につながる、という理解が広がってきています。社内の取り組みの具体例として、返品の削減や販促品在庫率の削減で、廃棄物とコストを削減したという事例があげられます。」
と環境・安全部 専任課長 大竹 一夫氏は語る。
こうした取り組みにLRQAジャパンの審査が役立っていると、環境・安全部 専任部長 田辺 和光氏は次のように語る。
「LRQAジャパンの審査員からは、当社の環境活動を的確に評価して、叱咤激励してもらっています。これが社員のモチベーション向上にもつながっていますね。」
本業と環境活動を一体化させ、先進的な経営を推進している味の素株式会社。次ページからは、具体的なプロジェクトと成果について紹介していく。

卸売業者や小売業者からの返品および、その廃棄にかかわるコスト負担や資源の無駄が課題となっていた味の素株式会社。この課題を解決するために物流部門、営業部門など複数の部門が集結してプロジェクトチームが発足し、返品を約45%も削減したという。
食品業界の場合、卸売業者や小売業者が商品を仕入れる際、返品なしの買い取りとなることが多い。しかし、以前から同社は商品の返品率が増加していることが課題となっていた。物流企画部 専任課長 水上 英男氏は次のように語る。
「商品をリニューアルすると、パッケージデザインの変更などのマイナーチェンジであっても、リニューアル前の在庫商品が返品されてしまうことが増えましたね。」
返品が増えると、お客様サイドでも在庫数や代金を算定したり、赤伝を切ったり手間がかかってしまう。また、メーカーサイドでも、返品の際には運搬コストや廃棄コストなど様々なコストや手間がかかる。こうした返品に対する様々なコストを合計すると、製造コストを数倍上回ってしまう。また、運搬に際してCO2が排出されるなどの地球環境に与える問題もある。さらに、水上氏は次のように続ける。
「自然の恵みを資源として食品を製造した会社が、その食品を無駄にしてはいけない。そんな社会的な使命も感じていましたね。」
同社では、こうした返品の課題を解決していくために、物流部門、営業部門など複数の部門が集結してプロジェクトチームを発足させた。
各部門では以前より返品が多いという認識はあったが、返品数や返品にかかるコストなどの情報を把握しきれていなかったため、同プロジェクトでは、まず返品状況を見える化した。
「返品の詳細情報を社内で共有、分析していくと、やはり各部門でこの問題に対する意識が高まりました。基本的には返品なしの買い取り制度という取り決めがありますから、営業部門を中心にお客様へお願いをしていき、また、お中元やお歳暮などのギフト商品は、その季節以外でも売れるように商品自体も工夫しました。こうした取り組みを進める中で、LRQA ジャパンの審査員からは厳しい指摘があり、我々も取り組みに熱が入っていきましたね。」
と水上氏はプロジェクト内容について語ってくれた。そして、このプロジェクトにより、お客様の理解は少しずつ進んでいき、返品を約45%も削減することができたという。これをコスト換算すると膨大な金額になるだろう。
こうした取り組みについて、環境・安全部の田辺氏は次のように語る。
「このプロジェクトは直接環境活動の中からスタートしたのではありませんが、各部門ではISO14001で目標を定め様々な無駄を削減していく中で、返品商品の廃棄の問題が目立つようになり、プロジェクトが発足するきっかけになったと考えています。」
物流部門では、このほかにもCO2削減へ向けて、トラック輸送からコンテナ鉄道輸送に切り替えるモーダルシフトや、グループ企業との共同配送など物流の効率化により、毎年着実にCO2排出量を減らしている。同部門の環境配慮型のビジネスは着実に成果を残している。

スーパーなどの商品陳列棚で使われているPOPや展示什器などの販促物のバリエーションが増え過ぎて、倉庫在庫率や廃棄の増加が問題となっていた。この問題を解決するために、効率的な販促物の制作・活用のルールづくりが行われ、今後の在庫率、コストの削減が期待されている。
スーパーなどの食品売り場でPOPや展示什器など、様々な販促物を目にすることは多いだろう。同社でも、多彩な販促物を制作してPR活動を推し進めてきた。一方で、販促物の在庫がかさむとともに廃棄処分も増加したことが問題になっていたという。食品事業本部 家庭用事業部 戦略グループ 専任課長 高橋 清仁氏は次のように語る。
「販促物は、その期に売上げを伸ばしたい商品など、各ブランドの意向で制作することが多いのですが、実際には店頭で置かれる場所は限られているにもかかわらず、販促物のバリエーションは増え続けており、営業スタッフがすべての販促物を使い切ることは難しい状況でした。現場のニーズが高い販促物の分析・共有ができていなかったのが、この問題の原因だと思います。」
そこで、同社では、販促物の利用率、在庫率、制作コストの分析を行った。この分析により、まず利用率が低くて、制作コストも高い販促物の制作を取りやめることとなった。また、展示台などは、各ブランドの名前を入れて印刷するのではなく、社名のみを印刷して各ブランドのメニューブックと組み合わせることで、展示台を共通利用できるようにした。これにより制作単価が大きく下がったという。このほかにも、販促物の効率的な利用と在庫削減へ向けて様々なルールが取り決められていった。
「現在は、販促物の整備が終わり、これから運用していこうという状況です。今後、この取り組みの成果を出していくには、現場の状況をより理解してもらいルールに沿った効率的な販促物制作を続けるとともに、販促物の品揃えを知ってもらい使いこなしてもらうことが大切です。」
と食品事業本部 営業企画部 営業基盤グループ 山本 智氏は説明してくれた。
これから販促物の在庫削減による廃棄物、コストの削減が期待されるが、高橋氏はこの取り組みについて次のように語る。
「販促物の倉庫は、営業部門が必要な販促物をPCで入力すると、倉庫スタッフが注文品をピッキングして出荷するという先進的なシステムを持っています。倉庫在庫を適正化していくことでスペースにも余裕が生まれ、この倉庫機能をグループ各社で使えるようになるでしょう。」
さらに、環境・安全部の田辺氏はこうしたプロジェクトとISO 14001について次のように評価してくれた。
「このプロジェクトをISO 14001の活動に組み込むことで、コストのためだけではなく、環境に貢献する意義あるプロジェクトだという意識が生まれ、社員たちのモチベーション向上にもつながっています。ISO 14001は業務に新たな光を与えてくれるのです。」
本業と環境貢献を一体化するとともに、ISO 14001やLRQA ジャパンの審査を有効活用していくことで、次々とプロジェクトが生まれ環境負荷低減とコスト削減の両立を実現してきた味の素株式会社。確実に環境活動をスパイラルアップさせている同社の取り組みには、今後も目を離すことができない。
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