トップ > ケーススタディ > LRQA Road to Success > ISO/TS 16949 自動車産業セクター規格 / ISO/TS 16949を全社に展開、市場クレームを激減、海外市場でも大きな飛躍を果たす。 曙ブレーキ工業株式会社
LRQAのお客様の成功事例をご紹介します。
2011年12月22日
曙ブレーキ工業株式会社
〒348-8508 埼玉県羽生市東5-4-71
TEL.048-560-1500(大代表)
http://www.akebono-brake.com/
乗用車、商用車、二輪車、鉄道車両、産業機械など幅広い分野で、ブレーキを開発、製造している。また、長年培ってきたブレーキ技術を活かしたセンサー製品も提供。安全を最優先して推し進めてきた技術開発により、国内において自動車用ブレーキパッドは純正採用で約40%のシェアを誇っている。
1929年の創業以来、安全というテーマに正面から取り組み高品質なブレーキを製造し、日本をはじめ、北米、ヨーロッパの主要な自動車メーカーから圧倒的な支持を受けている、曙ブレーキ工業株式会社。同社では、品質マネジメントシステムにいち早く取り組み、ISO 9001の認証を取得。その後、海外自動車メーカーからの要求をきっかけとして、ISO/TS 16949へステップアップした。
“エンドユーザーの満足度向上”をコンセプトにISO/TS 16949に取り組んだことにより、市場クレームは減少。さらに、F1チームへのオフィシャルサプライヤーになったことを機に増加したヨーロッパからの引き合いにも、ISO/TS 16949の認証を取得していることで、商談もスムーズになりビジネス拡大に結び付けている。現在、“世界一品質”を目標に掲げて、さらに飛躍していこうとしている同社をレポートする。

高度な安全性と信頼性、静粛性を誇る自動車用ブレーキが、国内外の数多くの顧客から厚い信頼を受けている曙ブレーキ工業株式会社。自動二輪車や新幹線などの鉄道車両、産業機械のブレーキも含めて多くの人々の安全と安心を支えている。ブレーキという製品特性上、安全を最優先した開発、製造が行われており、同社では、1996年にはISO 9001の認証を取得している。
認証取得の後、納入クレーム件数が減少するなど着実に導入の成果を見せてきた同社だが、数年後に課題が顕在化してきたと、品質保証部門 品質監査部 品質監査課 スペシャリスト金間 盛 氏は語る。
「ISO認証取得から時間が経つにつれて、徐々にマンネリ化が進んできたのかもしれません。右肩下がりだったクレーム数に増加傾向も見られるようになりましたね。」
さらに、北米の自動車メーカーとの商談の中で、ISO/TS 16949が求められたことがきっかけとなり、グループ会社の曙ブレーキ山陽製造が認証取得することとなった。常務執行役員品質保証部門長出嶋 清 氏は当時を次のように振り返る。
「社長からは、“認証を取得することが目的なのではなく、認証取得によって自分たちの業務をいかに高めていくか”というスタンスを求められました。今思うと、この本質を捉えた考え方が、後の成功につながったのだと考えています。」
とはいえ、当初、コアツールやCQIシリーズなどが要求されるISO/TS 16949とISO 9001の違いに苦労したようだ。
「はじめは事務局の人間ですら、ISO/TS 16949について詳しく理解できていませんでしたから、社員たちは何も分からない状態でした。そのため、私たち事務局が、研修会へ何度も通ったり、徹底的に勉強をしていきました。また、ほかの社員にも、研修会を何度も受けてもらうことで会社の本気度を伝えていきました。何か分からないことがあると、事務局に問い合わせがあるのですが、私たちも分からないことばかり。しかし、“絶対に逃げない事務局になって、みんなにISO/TS 16949を好きになってもらおう”という信念を持ち、答えを見出し説明していきましたね。」 金間氏は、その苦労を振り返ってくれたが、事務局の熱意を感じることで、認証取得へ向けて社内全体が一体となっていった。そして、2007年に曙ブレーキ山陽製造は、ISO/TS 16949の認証を取得した。
どの業種でも対応できるISO 9001とは違い、ISO/TS 16949では、製造工程の中でやらなければならないことが、キメ細かく規定されている。
「もちろん、ISO9001の導入時も様々な効果が表れましたが、ISO/TS 16949は私たちが日々業務の中で悩んでいることに、答えを与えてくれました。要求される製品を実現するために、何をすればよいか、業務手順が定められています。これに沿ってモノづくりをしていれば漏れがなくなるのです。これはよい規格だと実感しましたね。」(金間氏)
ISO/TS 16949のメリットを実感した同社では、グループ全体へ展開することとなり、2008年から順次グループ会社でISO/TS 16949の認証を取得した。

ISO/TS 16949は自動車産業向けの規格だが、同社では、鉄道産業向け、産業機械向けブレーキの製造部門でも、同規格を適用しているという。
「ISO/TS 16949は、自動車産業の規格とはいえ、モノづくりに共通して有効な規格です。実際、鉄道産業向け規格IRISは、ISO9001をベースにISO/TS 16949、JISQ9100(航空宇宙産業)の要求事項をプラスしたものです。ですから、当社の鉄道、産業機械の部門でも、ISO/TS 16949の要求事項を適用して全社的に同じ考え方で製造しています。」(出嶋氏)
同社では、ISO/TS 16949の運用に“QMS運営委員会”が大きな役割を果たしている。この委員会では、各部門の担当者が、課題と改善過程を報告しており、参加者たちが本音で議論できる有意義な会議となっている。さらに、ここでの意見は経営層にも報告されている。
「QMS運営委員会の結果を役員会で報告して、各部門の課題について現場の声として部門長や役員にインプットします。毎月のようにマネジメントレビューをしているようなものですから、社員の意識合わせが行いやすく、改善スピードも早まります。この会議の意義が社内で認知され、重要会議に格上げされました。」(出嶋氏)
QMS運営委員会は重要会議になったことで、部門長も必ず出席する会議となり、より意義ある議論が進められるようになったと、品質保証部門 品質監査部 品質監査課 スペシャリスト 高澤 浩徳 氏は次のように語る。
「現在、QMS運営委員会で、『仕組みの品質向上』というテーマに取り組んでいます。各業務で課題を登録して、改善していく仕組みにしていますから、さらにスパイラルアップできる体制が整備できましたね。」
QMS運営委員会が有効に機能していることもあり、ISO/TS 16949は社員たちの日常業務に浸透しており、様々な効果が表れている。クレーム減少の要因の一つになっている。
「以前は、問題とならなかったことが、今では課題として取り上げられ、どんどん改善していこうという流れができています。品質に対する視点が鋭くなり、それが未然防止という成果として表れていますね。元々、ISO/TS 16949をスタートするに当たりコンセプトとしたのは、エンドユーザーにご満足いただくこと。エンドユーザーのご満足は、納入先の自動車メーカーのご満足につながるからです。市場クレームは、実際にエンドユーザーが車両を使用してから顕在化するため、その数に変化が表れるのに時間がかかりますが、ここにきて市場クレームもさらに減少してきました。」(出嶋氏)
また、同社では、2007年からF1レースのボーダフォン・マクラーレン・メルセデスチームのオフィシャルサプライヤーとなっているが、同チームのドライバーがワールドチャンピオンとなるなど、素晴らしい成績を残している。これをきっかけとして、ヨーロッパの自動車メーカーからの引き合いも増えているそうだ。
「ヨーロッパに限らず自動車メーカーの方と話をしていると、やはりISO/TS 16949を取得していることで商談もスムーズになりますね。何か問い合わせがあっても、全部書類を見せることもできますし、同じ視点で話ができますから信頼を得ることができます。受注のチャンスがあったときには役に立つ認証だという意識が生まれ、ISO/TS 16949は社員たちのステイタスとなっています。」
と出嶋氏が語るように、同社では、ビジネスチャンスが増えており、社員のモチベーションアップにもつながっている。

同社では、1996年のISO 9001認証取得以来、LRQAジャパンが審査を行ってきたが、キメ細かなサポートが役に立ってきたという。
「ISO/TS 16949を導入する際や、運用段階でも、間違いがあってはいけないと思い、細かい点をLRQAジャパンの営業スタッフや審査員に確認して次のステップを考えるようにしています。」(高澤氏)
また、同社では、社員の8.4%が内部監査員となっているが、LRQAジャパンの審査を受けることで、監査技法の習得にもつながり、より質の高い内部監査を行えているという。さらに、金間氏は事務局と審査員の関係について次のように語ってくれた。
「審査の前には、審査員にどこを重点的に見てほしいかを、提示しています。事務局と審査員が同じ視点を持つことができれば、より有意義な審査になるからです。社内で言いにくいことも、第三者機関の立場で指摘してもらえるのはありがたいですね。また、審査前にトップインタビューのほかに部長インタビューも行ってもらっていますが、これを審査対象としています。トップの意向を、部長クラスがどのように展開しているかが重要ですからね。」
同社では、アジア、北米、ヨーロッパに展開している海外拠点でもISO/TS 16949の認証を取得しているが、今後、これを統合運用しようとしている。
「グローバルにISO/TS 16949を展開していますが、すべてLRQAに審査をお願いしています。
というのも、LRQA ジャパンで、当社の審査データをデータベース化してもらっていますから、北米やアジアなど現地の審査員に日本と同じ考え方で審査をしてもらえて安心で効率的ですからね。」(金間氏)
そして、さらに、拠点ごとに運用していたISO/TS 16949を、全世界で統合して運用しようとしている。その統合のコンセプトは、“C&S+t”だという。
「グローバルの拠点間で、基本プラットフォームは共通化(Communalization)、標準化(Standardization)
しながら、その味付け(Topping)を変えていく。日本と北米それぞれによさがありますから、その“いいとこ取り”をしながら共通のプラットフォームをつくり、さらに、地域の顧客や環境に応じて展開を変えていこうとしています。絶えず前進を続けながら、世界一品質を目指していきたい、そう考えています。」(出嶋氏)
事務局の熱い想いが、社内全体にISO/TS 16949を浸透させ、それが市場クレーム低減やビジネス拡大という大きな成果に結び付けてきた曙ブレーキ工業株式会社。これからの同社の大きな目標である世界一品質へ向けて、確実な歩みを見せてくれるだろう。

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