トップ > コラム > 事業継続マネジメントの基礎(BCM) > 第2回 「新型インフルエンザ対策とBCM対策の違い」
LRQA情報誌「Value Eyes」やお客様向けメールニュースにてご紹介したLRQA ジャパン審査員コラムをご紹介します。
2009年08月05日
新型インフルエンザの感染拡大防止対策は、次のような事態に各企業や組織がいかに対処するかを体系的に整理したもので、テレビや新聞でも繰り返し報道されましたので、すでにご承知の方が多いと思います。
一方、BCM対策に関するテレビや新聞の報道はなく、また、BCMを導入している企業や組織もその対策を公表しないため、多くの方はBCM対策があることもご存じないと思います。
具体的には、BCM対策は次のような事態に対処する方法を体系的に整理したものです。
<想定される事態例>
ここで注目していただきたいのは、「新型インフルエンザのため」を「水害のため」や「火災のため」に差し替えても、「BCM対策は同じになる」ということです。
BCMの理解で難しい点のひとつが、この「新型インフルエンザのため」や「水害のため」など、対象とする災害・事故・事件を特定しないことです。
「本社経理課の半数が欠勤、入金確認業務が停止」の事例では、入金確認業務は多くの企業・組織(以下「企業等」とします)では重要度が高いですから、代替要員を活用するなどして対処することになります。 この代替要員の活用というのが、BCM対策の一つです。
感染拡大防止対策は、前号で述べたとおり感染予防と、感染拡大の防止の二つを目的とします。これは、言い換えれば「人命を守る」ことになります。
これに対しBCMは、本社経理課の業務を継続させる、東北工場の人事課業務を継続させるなど、「企業・組織の業務を守る」ことになります。
BCMの基本的な考え方は、この「企業・組織の業務を守る」を、「企業等の社会的責任を果たすため」と「企業等のブランドイメージを向上させるため」にどうすれば合理的に出来るか、です。
企業等から地震・水害対策などを見ると、まず従業員や関係者の安全配慮対策があり、次が合理的な対策となります。ここで、合理的な対策とは、企業等が重要と思う経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)には厚く対策することを言います。
重要なモノ(建物、設備、部材)には十分な対策を、それほど重要でないモノには、それなりの対策を取ることです。
ただし、ヒトが関係する場合は、全てに対し高いレベルの安全配慮が求められますので、ヒトが関係する場合では「それなりの対策」はない、が基本です。
しかし、このヒトについても多くの例外があります。
海外で発生する金銭目当ての日本人誘拐事件は、企業等の経営層が狙われますから、対策に厚い・薄いが必要になります。さらに、政治的なテロも宣伝効果の高い企業等の経営者を狙いますから、これも対策に強弱が出来ます。
BCMは、ヒト・モノ・カネ・情報について、対策の厚い・薄いや強弱を企業等の経営の観点から合理的に考えるものです。
従って、「ヒトの命に高低はない」や「事業や業務に優劣はない」という発想とは異なります。
次回では、経営の視点から経営資源を見直すことを説明致します。
補足ですが、BCMは考え方で、考えた結果の成果物をBCP(事業継続計画書、Business Continuity Plans) と言います。
近年、猛威をふるっているインフルエンザ。これは個人だけの問題ではありません。企業として何をすべきか、専門家がご提案します。 (計6回)