トップ > コラム > 事業継続マネジメントの基礎(BCM) > 第3回 「経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)と合理的判断」
LRQA情報誌「Value Eyes」やお客様向けメールニュースにてご紹介したLRQA ジャパン審査員コラムをご紹介します。
2009年09月07日
まずは2つの表をご覧ください。
表1と表2は、ある企業の新型インフルエンザ対策の発信側と受信側を示しています。
表2では、新型インフルエンザ対策が施設単位になっていますが、車・鉄道などで往復3時間以内に移動可能な、距離的に近い施設を複数集め一つにブロックにする方法もあります。
多くの企業では、新型インフルエンザ対策における代替要員の手配は、同一施設または同一ブロック内を想定しています。これは移動時及び宿泊先での感染を防ぐためです。
なお、新型インフルエンザが弱毒性の場合は、欠勤者が多くありませんから、代替要員は不要になります。
表1で特徴的なのは、「就業規則の変更等」が含まれていることです。
本来、新型インフルエンザ対策は感染拡大防止対策とBCMの対策で良いのですが、いくつかの企業では、「感染時の病気休暇の取り扱い」、「出勤禁止時の給与の取り扱い」、「有給休暇、特別休暇の取り扱い」、「パートや派遣等、非正規雇用者の取り扱い」などの整備されていませんでしたので、就業規則についての変更等も対策の一つとして含めました。
なお、地震の場合は「感染拡大防止対策」が「耐震対策」に代わり、火災の場合は「防火対策」に代わり、「産業医」が「一級建築士や耐震専門家」に、また、「防災士や一級建築士」に代わりますが、BCMは代わりません。
また、地震・火事でも、「被災時の休暇の取り扱い」や「出勤停止期間の給与の取り扱い」などの整備は必要です。
表2の特徴は、「感染拡大防止対策」は全施設において必要度は「高」と一律なのに対し、BCMは施設単位で違いがあることです。
この違いは、ここでは非正規従業員を含む社員数の違いに依存しています。言い換えますと、経営資源の一つである「ヒト」に依存しています。
では、地震や火事の場合に、BCMの高・中・低はどうなるでしょうか。
表3は、表2を簡易化したもので、社員数は、「本社>工場>研究所>コールセンター>支店>営業所」と仮定しています。
ここで大変重要なのは、この「BCMの必要度」は、あくまでも「企業・組織の資産等を守る」という観点からであり、「人命最優先」は「BCMの必要度」以上のものであることです。
つまり、「人命最優先」が基本であり、これが順調に機能して、その次が「BCMの必要度」になることです。

表3の特徴は、地震や火災ではBCMの必要度が「不明」になることです。 これは、「ヒト」の場合は簡単で社員数に依存したBCMの必要度が、地震や火災では経営資源の他の要素である「モノ・カネ・情報」に大きく依存するからです。
「モノ・カネ・情報」に関して、BCMは資産等の金額的な大きさと、金額では計りにくい経営戦略的価値やブランドイメージなど無形財に依存します。 例えば、この企業の発祥地が現在の「那覇営業所」とした場合は、ブランドイメージ上では同営業所は高くなりますから、BCMの必要度も高くなります。
ここで、ご理解いただきたいのは、新型インフルエンザでは「社員数」という「合理的な数字」を基にBCMの必要度を表せるのに対し、地震や火災ではこの社員数に「モノ・カネ・情報」が加わりますから、「合理的な数字」と「数字化の判断」が複雑になることです。
次回は、この合理的な判断経営の方法をご説明致します。この方法は、英語ではBIA (Business Impact Analysis)ですが、日本語では「事業影響度分析」、「ビジネスインパクト分析」などと記載されます。
近年、猛威をふるっているインフルエンザ。これは個人だけの問題ではありません。企業として何をすべきか、専門家がご提案します。 (計6回)