トップ > コラム > GOMAME先生の食品コラム > 第3回 「『回収のお知らせ』 - この告知を行わないために、何が大切か。」
LRQA情報誌「Value Eyes」やお客様向けメールニュースにてご紹介したLRQA ジャパン審査員コラムをご紹介します。
2009年10月13日
生活や消費に関する情報が公開される国民生活センターの「回収・無償修理等のお知らせ」に、今年は8月初旬までフードチェーンに関する情報が46件ありました。
その内訳は様々ですが、下記のような製造委託商品に関する回収の告知は、食品産業以外にあまり見かけません。
平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
さてこの度、弊社がXX社へ生産委託し、弊社名で販売致しております「YYY(賞味期限ZZの商品)」の一部商品につきまして、・・・・でした。
つきましては、お客様に安心してお召し上がり頂くことを第一に考え、念のため、該当商品を回収させて頂くことに致しました・・・・尚、これまでに健康被害のご連絡は受けておりませんが、・・・・・
なぜ食品産業では製造委託商品のこの様なトラブルが発生するのでしょうか。
一つには製造委託に関する考え方があると思います。
製造委託は、自社と同等以上の技術、ノウハウ、設備、安全性、情報網等に対する信頼を前提になされるものですが、時としてコストパフォーマンスが優先されるケースがあります。
すべてがそうとは言いませんが、製造コストのみに焦点を合わせた外部委託は食品安全上課題を残すことが多いようです。
二つ目は委託先への情報提供の問題です。
食品は製品やプロセスを物理的に表現することが難しい面があるため、委託先に充分な情報を提供する必要があります。
筆者はこれを製造委託の5原則と名づけています。
またこれらの情報提供と同時に、委託先の生産管理の仕組みを調査し、要求に応えられる能力があるかを確認することも大切です。
ところで上記の製造委託の5原則は、企業内のどの部署が守っていくべきでしょうか。
食品産業には設計・開発の概念が浸透していませんが、委託先への適切な情報提供は設計・開発部署の腕(技術)の見せ所だと思います。
これらを双方合意のもとに文書化し、監査時のチェックリストに反映すると、監査が単なる工場査察に終わらずに済むからです。
ISO22000の序文に、フードチェーンの適切な管理、組織間のコミュニケーションの必要性が謳われ、またISO9000の原則には委託と受託の互恵関係が両者の価値創造能力を高めると述べられています。
このように委託側、受託側がお互いに緊張した、厳しい関係の維持によって、双方の技術力、食品安全の一層の向上につながっていくことを期待します。
そうすれば冒頭で述べたような「回収告知」はもっと減っていくことでしょう。
【GOMAME先生の食品コラム】
LRQAジャパン所属の食品審査員が、当サイトにて書き下ろした食品にまつわるコラム(全6回)。ちなみに、ごまめ(GOMAME)とは、正月料理の「田作り」のことで、カタクチイワシの幼魚を生干したもの。
LRQAジャパン所属の食品審査員が書き下ろした、食品にまつわるコラム。ごまめ(GOMAME)とは、正月料理の「田作り」のことで、カタクチイワシの幼魚を生干したもの。 (計6回)