LRQA情報誌「Value Eyes」やお客様向けメールニュースにてご紹介したコラムを集めています。
英国排出権取引制度の検証業務、オランダで行われていたERUPT/CERUPT(*)の削減プロジェクト有効化審査や
世界銀行のパイロットプロジェクトの有効化審査のトレーニングを受け、それらについての知見を得て英国から
帰国後、私はただちに「第一回バリデーター・ベリファイヤー養成コース」(経済産業省主催。2002年12月クリスマスを
含む5日間に開催)の準備に取り掛かった。
このコースは、将来の我が国の温室効果ガスの検証や審査を担当しようとする審査登録機関、CDMの指定運営
機関 (DOE)になろうとする審査登録機関、及び国連でそのDOEを審査する役務のCDM-AT (CDM Assessment
Team)等を対象とするもので、各審査登録機関より約2~4名ずつ、認定機関より5名参加して行われた。経済
産業省からの要請で、この講習会の参加者に即戦力の実力を身に付けさせ、海外で行われるCDM等の
プロジェクトの審査が日本語でスムーズに行われ、それによりわが国に多くのCER等のクレジットをもたらす事を
目的としていて、クレジットにより京都議定書の遵守を容易にすることが最終目標であった。
即戦力の実力となると受講生諸氏にかなりの負担となる事は明らかであったが、認定機関の方々は「講習最後の
修了試験に合格しなければクビと言い渡されて参加している」と私に圧力をかけて来るし、合格者が一人もいないと
なると指導が悪いと評価されるので、課題の設定が難しかった。
今ではCDMプロジェクトは2,160件既に登録されているが、当時は当然ながら実例は皆無であった。そのような
状況の中で世界銀行のパイロットプロジェクトの中から一つを選択し、その有効化審査を課題とする事とした。
このプロジェクトは英国の文学青年が書いたような削減プロジェクト設計図書(約150ページ)で、その内容が全ての
要求事項を満たしているかについて審査するもので、酔いしれるようなきれいな文章とその中に潜む矛盾点や
問題点を発見し報告するというものであった。結果として受講生のほぼ全員がそのきれいな文章に酔いしれて
しまい、採点を難しくさせた。
この講習会は翌年3月まで合計4回開催され、参加費は国費という事で毎回定員の20名を3、4名上回る方々が
参加され、その参加者の大多数は、現在、各審査登録機関の幹部や管理者であった。今振り返ってみると、
LRQAの現在の競争会社の人材を一生懸命育てた形になっている。
さらに、審査登録機関向けの講習会終了後、事業者に対する講習会を開催した。CDM等の海外プロジェクトの
設計図書の書き方やその中に必要な削減方法論の組み立て方を、企業でこれらを担当する方々やコンサルタントを
目指す方々に対して解説・指導した。これには修了試験はなかったが、最後に方法論とプロジェクト設計図書を
提出してもらい、添削指導を行うという課題を経済産業省から要請され、受講生の約70名分を3ヶ月かけて
添削した。これにより多くの温暖化プロが巣立って行った。
(第5回へ続く)
(*) ERUPT/CERUPT
オランダ政府は京都議定書の数値目標を-6%削減と打ち出していて、海外から排出枠を調達するための制度と
して、ERUPT/CERUPTと呼ばれる入札制度を実施している。ERUPT(Emission Reduction Unit Procurement
Tender) は、JIプロジェクトによって発生するクレジット(ERU) を、オランダ政府が入札によって調達する制度であり、
CERUPT(Certified Emission Reduction Unit Procurement Tender)は、CDM プロジェクトによって発生
するクレジット(CER) を、オランダ政府が入札によって調達する制度である。
参考資料: 環境省 京都メカニズムに関する検討会(平成14年4月開催 配布資料「京都メカニズム活用に関する
先行的取組事例(概要)」)
LRQAジャパン 地球温暖化サイト http://www.climate-change.jp/
LRQAジャパン版 GHG検証員の『私の履歴書』です。(計6回)