コラム

LRQA情報誌「Value Eyes」やお客様向けメールニュースにてご紹介したLRQA ジャパン審査員コラムをご紹介します。

第1回: ISO50001 エネルギーマネジメントシステム国際規格案(DIS)の解説

2010年06月11日

20103月にISO50001エネルギーマネジメントシステムのDIS(Draft of International Standard)が発行されました。ISO50001は、2008年から国際規格化の検討が行われている規格で、2011年に国際規格として発行されることが見込まれています。(表1参照)

DISではエネルギーマネジメントシステムのモデルは、図1のように示されており、他のマネジメントシステムモデルと同様にPDCA (Plan-Do-Check-Action) のマネジメントサイクルを用いて継続的改善を実現することを目的として利用されるものです。この規格においては、継続的改善の対象は、エネルギーパフォーマンス及びエネルギーマネジメントシステムになります。



この規格の将来の使用者が最も関心を寄せる点は、ISO 14001との相違ではないでしょうか?
ISO 50001ISO 14001双方ともにPDCAのマネジメントシステムモデルで構成され、さらにエネルギーの使用は、ISO 14001で取り扱う環境側面の一つとして捉えられるものです。今回は、ISO 14001の要求事項との違いを中心にISO 50001の要求事項の一部をご紹介致します。

ISO 50001の適用範囲では、“組織がエネルギーパフォーマンス、エネルギー効率やエネルギー使用量などを継続的に改善するためにシステム的な取り組みが出来るように、エネルギーマネジメントシステムを確立し、実施し、維持するための要求事項を定める”と記述されています。これに関連して、計画の段階では、法的及びその他の要求事項の特定に加え、“エネルギーレビューを策定し、記録し、維持すること”、“エネルギーベースラインを確立すること”、“エネルギーパフォーマンス指標を特定すること”を要求しています。さらにエネルギーレビューの策定においては、“実測などのデータに基づくエネルギー使用の解析”、“エネルギー使用の解析に基づく著しいエネルギー使用及び使用量のある領域の特定”が求められています。

これらのことから、実測された数値に基づき、エネルギー使用(量)の改善を目指す、よりパフォーマンスの改善を志向したマネジメントシステムとして構成され、パフォーマンス改善を支援するためにISO 14001よりもきめ細かく要求事項が設定されているといえるようです。

また、同じくISO 50001の適用範囲では、“エネルギーを使用する設備、システム、プロセスの購買や計画設計の実施を含めてエネルギー供給、測定、文書化及びエネルギー使用に関する報告に適用できる。”とされています。“購買”に関連して、さらに“エネルギーサービス、製品、設備及びエネルギーの調達”に関する要求事項が規定されており、“エネルギーサービス、製品及び設備を調達する際には、その調達に関して、エネルギーパフォーマンスの評価を行うことを通知すること”、“有効なエネルギーパフォーマンスの実現のために適切な購買の仕様書を決定すること”を要求しています。これは、エネルギー使用に関連する供給者及び請負者も含めたマネジメントが必要であることを意味しています。

一方で、この規格のマネジメントの対象は、“エネルギー使用”とされていますので、組織が提供する製品で使用されるエネルギーについては、現在のところこの規格の適用範囲には含まれていません。この部分は、製品やサービスを提供した結果生じる環境影響までを対象に含めるISO14001と比較して、マネジメントの範囲が限定されているといえるようです。

総じて述べるならば、ISO 50001の要求事項は、ISO 14001の要求事項の延長線上あるいはその範囲内にあり、組織のエネルギーパフォーマンスの改善あるいは組織のエネルギーマネジメントを第三者に実証することを意図する組織を支援するための要求事項として構成されているようです。

(第2回につづく)

 

 LRQAジャパン 地球温暖化サイト http://www.climate-change.jp/

エネルギーマネジメントシステム

2010年3月、ISO50001 エネルギーマネジメントシステムの国際規格案 (DIS)が発表されました。現在のISO50001を始めとした関連規格について弊社専門家が解説いたします。(計3回)

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