トップ > コラム > エネルギーマネジメントシステム > 最終回: 低炭素社会に向けてのエネルギーマネジメントの展望
LRQA情報誌「Value Eyes」やお客様向けメールニュースにてご紹介したLRQA ジャパン審査員コラムをご紹介します。
2010年08月09日
COP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)におけるポスト京都議定書の削減目標合意への難航や、2020年までに温室効果ガスを1990年比25%削減するという鳩山イニシアチブを掲げた前首相の早々の退陣など温室効果ガス排出削減に向けた取り組みに失速感が見られることも事実ではありますが、温室効果ガス排出量削減に対する社会的な要求が無くなることは考えられないでしょう。企業としては、規制を含む社会からの要求に応えながら温室効果ガス削減に向けた取り組みを続けていく必要があります。
加えて、各国の温室効果ガス削減のための取り組みの推進は、同時にエネルギー事情の大きな変化をもたらす可能性を持っています。主要なエネルギー資源を輸入に頼る国内の企業にとって、今後エネルギーマネジメントの取り組みは重要な課題の一つとなることは間違いないでしょう。
単なるエネルギー節約のための活動ならば、トップマネジメントの号令の下に成果を上げることが出来るかも知れませんが、将来を見据えた投資を伴う温室効果ガスの削減、あるいはエネルギー使用の削減のための取り組みには、体系化されたマネジメントシステムが必要となってきます。エネルギーマネジメントシステムの導入及び運用がパフォーマンス上の成果をもたらすことは、既にEU等の取り組み事例からも明らかです。
この連載でも第1回、第2回と考察してきたように、ISO50001におけるエネルギーマネジメントシステムの仕組みは、ISO14001環境マネジメントシステムと共通の要素を備え、改正省エネ法へも十分に対応し得るものとなっています。
今までのISOへの取り組みは、認証偏重の傾向にありましたが、本来、マネジメントシステムの導入と認証は別のものです。体系化されたマネジメントシステムの導入及び運用は組織の事業の継続・発展を目指すためのものであり、認証は利害関係者への責任を果たすために利用されるものであり、両者の目的には明確な違いがあります。
マネジメントシステムの認証による効果を過度に期待するよりも、むしろ原点に立ち返り、マネジメントシステムの導入による効果に目を向けるべきではないでしょうか?
しかしながら、自社でシステムを構築していると自社内の視点に傾倒しがちになりますので、中立・公平、透明性・説明責任を伴ったシステムとしての国際標準規格に照らし合わせ、第三者審査登録機関を活用することが、組織の国際競争力を高める事につながります。
ISO 50001は、エネルギーレビューや、エネルギーベースラインの設定等のパフォーマンスの改善のために欠かせないマネジメントシステム要素に関する要求事項を備えています。これらのマネジメントシステム要素の採用はエネルギー使用に関する成果のみならず、環境マネジメントシステムなどの既存のマネジメントシステムに対する見直しの契機を提供し、よりパフォーマンスを志向したマネジメントシステムの改善に向けた相乗効果をもたらす可能性を持っています。
エネルギーマネジメントシステムの導入に関する動機付けの例
否定的な動機付けの例 | 肯定的な動機付けの例 | |
既にISO14001に基づく環境マネジメントシステムを導入しているので、ISO50001は不要。 | ISO50001のパフォーマンスの改善を志向したマネジメントシステム要素を採用してみる。 | |
パフォーマンスは法で規制されるので、法に基づき管理すれば十分である。 | 期待される(規制された)パフォーマンスを得るためにマネジメントシステムを運用する。 | |
(完)
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2010年3月、ISO50001 エネルギーマネジメントシステムの国際規格案 (DIS)が発表されました。現在のISO50001を始めとした関連規格について弊社専門家が解説いたします。(計3回)