LRQA情報誌「Value Eyes」やお客様向けメールニュースにてご紹介したLRQA ジャパン審査員コラムをご紹介します。
2012年02月22日
2009年の日本に於ける食品廃棄物量は約1,900万トンで、うち約800万トンが食品関連事業者から発生しています。単純に考えると、年間6,000万トンの食品輸入国である日本は、その約3分の1を廃棄していることになります。
これは、食料自給率やTPP参加と農業政策などの食品に関する話題が多い現状で、食品産業として考えなければならない問題ではないでしょうか。
食品工場を訪問しますと、意外にも最終製品(規格不適合品、期限切れ・表示ミスなど)の廃棄は比較的少なく、投入原料や仕掛品、中間製品などの廃棄が多く見受けられます。
最終製品の廃棄の記録は詳細に記録され、原因が分析され是正処置がとられていますが、
多くの組織では、投入原料や仕掛品の廃棄について数量のみの記録を維持しています。しかし、プロセスに於けるこれらの不良品が発生した原因については、記録がとられていません。
廃棄の原因という観点から、設備の稼動記録と合わせてみると、設備の故障に伴う投入原料、中間製品の取り出しによる廃棄が主体であることが分かります。
食品産業は原料から製品までのプロセスが長く、設備が突然停止すると設備保全の間に既に投入した原料や中間製品及び仕掛品が変質することから、製品化が困難になり系外に取り出さざるを得なくなります。
また、設備故障の前後ではISO 22000:2005で規定する「安全でない可能性のある製品」が発生している可能性もあります。
食品産業に於ける設備の突然の停止は、組み立て産業と比較すると、投入した原料や中間製品及び仕掛品の系外への取り出し、設備補修、補修後の設備洗浄、運転開始時の初流の廃棄などのために、要員の労力も含めた「資源」、「時間」の損失が大きくなります。
設備保全は、以下の3つに大別することができます。
1. 事後保全(Break down maintenance : BM)
故障停止または有害な性能低下に至ってから修理を行う保全方法
2. 予防保全(Preventive maintenance : PM)
設備の点検、定期的な部品交換等による予防に重点を置いた保全方法
3. 改良保全(Corrective maintenance : CM)
同種に故障が再発しないように改善を加え、設備上の弱点を補強する保全方法
現状は設備が故障したら外部の専門業者に保全を依頼する仕組み(BM)で運営している組織が多く見受けられますが、食品産業に必要なのは予防保全(PM)プログラムの構築です。
PAS 220:2008の8.6項では「予防保全プログラムが使用できる状態であること」「予防保全プログラムの対象には、食品安全ハザードをモニタリング及び/または管理するすべての計器を含めなければならないこと」を求めています。設備が故障する前に手を打っておくことは食品安全や限られた資源の有効な利用のために大切なことです。
ISO 9001:2008の8.4項では、データの分析「収集したデータ(設備故障データ、保全記録等)の分析によって予防処置の機会を得ることを含む、プロセス及び製品の特性及び傾向に関連する情報を提供しなければならない」を活用した予防保全プログラムの確立が望まれます。
機械は自からは壊れません。故障したとしたら、「人間が手を抜いた」、言い換えれば「人が予防保全を怠った」結果です。
「機械が壊れました。」ではなく「機械を壊しました。」との認識が必要と思います。
※食品コラム第2回は、「GFSIの考え方とFSSC 22000の活用状況」を予定しておりましたが、第3回予定であった「食品産業に於ける設備管理」へ変更させていただきました、次回に「GFSIの考え方とFSSC 22000の活用状況」を掲載予定です。
第3回 GFSIの考え方とFSSC 22000の活用状況
第4回 飼料産業と食品安全
第5回 倉庫・物流サービスと食品安全
第6回 小売・ケータリングと食品安全
第7回 第二者監査のあり方 等
長年、食品産業に携わってきたLRQA食品審査員が、日本の食品産業を取り巻く環境に対し、食品産業は何をなすべきかについて、皆様と一緒に考えます。